こんにちは。私は令和8年度の筑波大学 情報学群 情報科学類 3年次編入試験に合格したので、合格体験記を書きました。
自己紹介
- 鹿児島高専 情報工学科
- 席次:平均6位くらい
- TOEIC:760点
- X:@shinysheep0158
併願校
- 九州工業大学 情報工学部 情報・通信工学科(合格)
- 豊橋技術科学大学 情報知能工学課程(合格)
TOEIC点推移
- 3年9月:530点
- 4年5月:610点
- 4年11月:760点
勉強
勉強を始めたのは高専4年の8月からです。Toggl Trackというアプリを使って勉強時間を記録していました。各月の勉強時間と勉強内容は以下の通りです。
24/08 12:25:38
新微分積分Ⅰ
24/09 40:37:10
新微分積分Ⅰ(微分と積分の復習)
24/10 1:49:27
24/11 19:52:49
新微分積分Ⅰ
徹底研究 微分法・不定積分・定積分
24/12 27:38:05
新微分積分Ⅰ
徹底研究 定積分の応用・級数・偏微分・重積分
25/1 23:44:18
徹底研究 行列
25/2 65:17:21
徹底研究 微分・積分(二周目)、重積分、行列式、ベクトル空間、固有値
教養の線形代数
25/3 111:45:45
過去問特訓1 、2、4、5のAB、1C
過去問(令和3年度、平成29年度)
大学編入のための数学問題集
徹底研究 行列式、ベクトル空間、級数(2周目)、偏微分(多分三週目)
過去問特訓1-AB、2-A(二周目)
25/4 69:12:46
徹底研究 定積分
徹底演習、一変数関数の極値
過去問特訓、ベクトル空間B
25/5 43:28:00
過去問(平成31年度、令和2年度)
徹底演習、周回
大学編入のための数学問題集 線形空間
25/6 61:31:13
過去問特訓124C
過去問(令和4年度)
25/7
過去問(令和5年度、令和6年度、令和7年度)
1~3年
高専入学当初から大学編入をしたいと考えていたので、定期試験ではできるだけ席次を高く保とうとしていました。
4年 夏
夏になり8月後半から編入勉強を開始しました。前半は何をやっていたかというと、セキュリティ・キャンプ2024全国大会に参加したり、インターンシップに参加したりしていました。この時期はTOEICの勉強と、数学は基礎的なことを高専の教科書を使って復習していました。
4年11~2月
10月までは、文化祭の準備に追われていて、ほとんど勉強ができていなかったので、ここから勉強時間が前月比で増えます。徹底研究の微積の範囲の1週目を解いていました。章末問題が難しくて、最初は解けなかった記憶があります。
線形代数では、授業では扱わないベクトル空間を自習する必要があるため、培風館の「教養の線形代数」という大学の学部生が使いそうな本で勉強をしました。ちょうどその時、多変量解析という授業でフーリエ級数展開を例に抽象ベクトル空間について扱っていて、理解の助けとなりました。
4年3月
春休みに入ると、近くの図書館に行って勉強しました。数学は、徹底研究に加えて過去問特訓という参考書で応用力を付けていました。
また、この時期に過去問を解き始めました。平成29年度から令和7年度のものを持っていたので、割と最新の問題を解いて雰囲気をつかみたいと思い、令和3年度分を解きました。
過去問を解いて、筑波編入の情報が思ったより解けなくて焦りました。グラフのBFS(幅優先探索)や動的計画法など、知っておいた方がスムーズに解ける競プロ問題の知識が必要だと感じ、C言語によるはじめてのアルゴリズム入門を読み始めました。
5年4月
新学期が始まると、春休みのように編入勉強にだけ集中できなくなり、勉強時間が減りました。春休みの勉強で、徹底研究と過去問特訓のC問題以外が大体理解できている状態だったので、森北出版の大学編入試験問題 数学/徹底演習(通称:徹底演習)も解き始めました。徹底演習は、これまでの参考書には見られないようなひねった良問が厳選されていて、特に筑波大学の編入試験を受ける人にはおすすめです。また、情報では、C言語によるはじめてのアルゴリズム入門のプログラムを、何度も書いて実行したり、図を書いたりしてプログラムを見なくてもソートやリストのアルゴリズムを書けるようにしたり、定本 Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造(定本C)を読んだりしていました。筑波大学の編入情報対策としてはこの二冊に加えてプログラミングコンテスト攻略のためのアルゴリズムとデータ構造(螺旋本)をやるのが定石となっているようです。螺旋本は図書館で借りて、少しだけ取り組みました。
5年5月
卒研やシステム開発の授業の課題がしんどくてさらに勉強が手につかなくなります。この時期になっても徹底研究の周回は続けていました。また、大日本図書の大学編入のための数学問題集(大日本と呼んでいました)を図書館で借りて、線形空間の章だけ解きました。
5年6月
豊橋技科大の試験が近づいていたので、過去問を解きました。私の出願した学科は、専門の試験で論理回路の問題があったので、授業で使っていた教科書を使って勉強しました。また、いままで難しすぎて避け続けていた過去問特訓のC問題を解きました。
5年7月
勉強時間を記録することで勉強を始めるハードルが高くなってしまっていることに気づき、直前は勉強時間の記録を取りませんでした。令和5、6、7年度の過去問を解き、問題集を周回しました。
編入試験本番
九州工業大学
九州工業大学の編入試験は少し特殊で、一般と推薦に関わらず面接試験しかありません。面接試験の内容は口頭試問となっていますが、一般的なホワイトボードに問題を解くタイプのものではありません。出願が完了すると九工大からurlとパスワードが書かれた紙と解答用紙が郵送され、指定の日時以降にそのurlにアクセスすると問題を見ることが出来ます。この事前問題はほかの人と相談したりしても良い事となっていて、解答用紙に答えを記入し、九工大に返送します。この解答用紙は点数化されず、面接試験では解答用紙をもとに質問がなされます。事前問題は情報・通信工学科では数学と情報基礎があります。今年の問題は数学が以下の2×2の対称行列について、
- (1)行列が正則である条件
- (2)与えられた固有値から、a、b、cが満たすべき条件
- (3)与えられた固有値・固有ベクトルからa、b、cを求め、A2を求める
という問題でした。 情報基礎は以下の3つの数列に対して、
- (1)nが与えられたとき、An、Bn、Cnの値を求める関数をそれぞれ作成せよ
- (2)nが与えられた時、数列{Cn}の第1項から第n項までの積Pnを求める関数を、再帰呼び出しを用いて作成せよ
- (3)数列{Cn}の連続する5つの項の積(例えば、C1C2C3C4C5やC2C3C4C5C6など)の最大値を求める関数を作成せよ
という問題でした。(1)は数列AはO(1)で、数列BはO(n)で解くことができます。(3)については、(2)で求めたPn同士の除算を計算することで任意の連続する5つの項の積を求めました(例えば、C2~C6ならP6/P1)。
前泊
試験は6/21(土)に九州工業大学 飯塚キャンパスで行われました。前日の6/20に新飯塚ステーションホテルに泊まりました。
当日
当日は新飯塚駅とバスターミナル前(ホテルニューガイア飯塚の近く)と九工大に止まるバスが無料で運行されていました。私は新飯塚駅前のバス停から乗りました。8時30分から受付開始で、9時になると全員控室に移動し、受験する学科ごとにわかれて着席しました。受験上の注意がなされた後に、9時30分からおそらく各学科から一人、大体4人づつくらい面接室に案内されていきました。面接は20分間で、私の前に3人ほど受験生がいたので、50分くらい待ちました。待っている間は勉強などをしてもよいと指示がありました。
面接室に入ると、数学、情報基礎、専門適正の質問を行う先生方が3人座っていて、数学から順に質問が始まりました。数学は以下の質問がなされました。
- Aのような行列をなんとよびますか。
- (1)を満たすような(すなわち行列式≠0を満たす)行列をなんと言いますか
- 行列式≠0となることと同値なことをいえますか
- (2)についてですが、固有値と固有ベクトルの求め方を教えてください
- 固有値の和と対角成分の和の関係について教えてください
- 行列式と固有値についての関係を教えてください
- (3)に関連する質問ですが、対角化可能な条件をいえますか
- 今回はA2ですがAkを求める手順を教えてください
続いて情報基礎の質問です。
- (1)について、Aはどういう考え方をしてこう解いた?
- Bについても同様に説明をお願いします。
- (2)について、再帰を使ってよく書かれていると思いますが、再帰呼び出しのメリットとデメリットを教えてください
- ((2)の再帰について)nが2倍3倍になったときの実行時間はどうなりますか
- (3)はウィンドウといって、2重for文で5個の要素をずらしながら計算する方法もありますが、このように解いた理由はある?
- 最後に、(3)の関数について、今回は5個の部分積ですが、これが可変の場合はプログラムのどこを変更すればよいですか
最後に専門適正ですが、これはWeb出願時に提出した自己申告書から質問されました。自己申告書では、学科への志望動機と、これまで取り組んできたことについて、それぞれ500字で書きます。私は志望動機としてとある先生の研究室の存在を挙げたので、その先生に会ったことがありますか?というような質問や英語に自信があるか、等について質問されました。
感想
最初に受けた編入試験だったのでとても緊張しました。
豊橋技術科学大学
前泊
試験は6/28(土)にありました。前日にコンフォートホテル豊橋に泊まりました。
当日
試験は9時から16時まで、英語、国語、昼食をはさんで応用数学、専門科目の順に行われました。正直英語、国語は対策のしようがないです。英語の長文対策として、やっておきたい英語長文500を少しだけやりました。応用数学では、毎年線形代数、偏微分および重積分を含む微積、確率、微分方程式が出ます。今年度も特に傾向は変わっていませんでした。情報・知能工学課程の専門科目は、2変数関数の極値におけるヘッシアン行列の計算、プログラミング(C言語)、論理回路が出題されました。プログラミングは、チェーン法を取り入れたハッシュテーブルに関する問題で、ポインタやダブルポインタなどが惜しげもなく出てきて、筑波の情報の試験みたいでした。
感想
同じスケジュールで過去問を1日かけて解く演習をしていたので、長丁場でしたがなんとか解ききれました。お昼ごはんは午後の数学で眠くならないようにカロリーメイトとウィダーインゼリーを食べました。
筑波大学
前泊
前日につくば入りしました。試験会場の下見をしに行くついでに今年の情報科学類の倍率を見に行きました。去年はその前の年に比べて倍率が下がっていたので、今年もそうであればいいなぁと思ったのですが、上がっていました。14人の枠に対して併願(mastを第2志望とした併願)まで入れると160人受験者が居て、数え間違いかと思いました。ホテルはダイワロイネットホテルつくばです。10時に寝ました。
当日
早めにホテルを出て、会場の近くのベンチに座って受付開始の時間までパラパラと問題集を見ていました。朝ご飯はコンビニのおにぎりとサラダです。掲示板に集まっている人だかりの中から、「160人!?」という声が聞こえてきたので、やっぱ数え間違いじゃないのか...と思いました。
試験内容
情報1->情報2->数学1->数学2の順で解きました。
情報1
大量の文章が1ページ分ずらりとありましたが、例年の事なので根気よく読みました。マンハッタン距離についての問題でした。私はマンハッタン距離を知らなかったので、何度も注意深く問題文を読んだのですが、よくわからず、プログラムの穴埋めを何とか終わらせたところで他はそれっぽいことを書いて次の問題にいきました。この時点で30分経過。
情報2
マップ上の緯度・経度を二分探索を用いて文字列にエンコードするプログラムに関する問題でした。問題をしっかり読めば解けました。競プロの典型問題などではなく試験中にしっかり問題を読み込むタイプの問題だったので競プロ勢との差がでなくてよかったです。この時点で1時間経過。
数学1
2変数関数の極値と重積分の問題でした。どちらも過去問特訓のB問題くらいのレベル感でした。令和6年度あたりから、数学1は易化傾向にあったので、そろそろ平成29年度(チェザロ平均)や令和5年度(相加相乗平均)などのマイナー問題を警戒していましたが、出ませんでした。
数学2
漸化式で表された3つの数列を3次正方行列を用いて表示し、その行列の固有値・固有ベクトルを求め、それを用いて行列のn乗を計算することで3つの数列の一般項を求める問題でした。この時点で1時間30分経過。
見直し
残り30分ほどあったので、情報1にもう一度取り組みました。動的計画法でマンハッタン距離のうち最小のものを求めるプログラムで、求め終わった後の2次元配列の中身を出力する問題が時間内に終わらず、最後の標準出力を答える問題は空欄のまま提出することになりました。
帰宅
倍率と情報1の出来からしてcoinsは厳しいかも...と思いながら、秋葉原までtxで戻り、地元にはないサイゼリアを食べてから帰りました。
振り返り
勉強するときに意識したこと
とにかく頭を使って問題を解くことと、解く時間を意識しました。普段の問題演習の中で、わからない問題に出会ったときに、何分間は集中して取り組むと決めて、その制限時間内に間違えていてもいいから知っている知識をフル活用して答えをひねりだすという練習をしていました。このような悩む練習を普段からしていると、本番で難しい問題に遭遇したときにも部分点くらいは貰えるようになると思います。また、問題の解答を見たときに解き方に違和感を感じたり、微妙に納得できないことがあったりすれば、その感覚を大切にして、ちゃんと納得できるまでその問題に向き合うように努めました。ただし、このようなことを常に意識しながら問題を解くのは非常に神経を使うし、問題を周回することの意味を失いがちで、勉強をすることのハードルが上がってしまうことがあります。実際私は5年の4月ごろからそうなってしまって勉強できなくなったので、ある程度妥協して勉強することも大事です。
ケアレスミスの対策
筑波の編入数学の問題は、超難しい問題と徹底研究レベルの問題が混在する傾向にあり、超難しい方はみんな得点できないので結局易しい方の問題をしっかり取れたか取れなかったかで合否が決まります。そこで出来るだけミスを減らすために、11月ころから計算ミスをする度にそのミスの記録を行う用のノートを用意しました。どういう式変形の時にミスをしたのか、どうやって計算すればよりミスを減らせるかなどを重点的に書きこみました。ミスには通し番号を付けて、問題集のミスをした問題の横にその通し番号を書いていました。そして、問題集を周回するときには、ケアレスミスノートの対応する番号の箇所を見直して、自分のミスの傾向を覚えるようにしていました。特にミスが多かったのは行列の行基本変形と定積分の計算でしたが、ミスの傾向を覚えることで自然にミスをしないような解き方を身につけていくことができました。まあミスする度に全部記録するのはかなり面倒だし、普通に注意不足でミスすることもよくあってそういう時は対策のしようがないので、最後の方はしなくなっていきましたが、無意味ではなかった気がします。
おわりに
第一志望のcoinsに合格してました。併願の二校も合格していたので良かったです。全体的に勉強時間が少なく、特に新学期に入ってから勉強が手につかない焦りでさらに勉強できなくなっていて、絶望していることを周りに悟られないようにふるまうことで精一杯だったので、報われてよかったです。何か質問があればできる範囲で答えるのでXにDMください。